注目キーワード
  1. SDGs
  2. ESG投資
  3. フードシェア

【TCFDの勧告】気候変動をビジネスやESG投資のチャンスに変えよう

「気候関連財務情報開示タスクフォースの勧告」をご存じでしょうか。

これは、世界が注目するタスクフォース「TCFD」による勧告であり、これからの金融業界を大きく動かすであろう内容が書かれています。

関連記事

TCFD概要 TCFDとは、「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(The FSB Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の略称です。 「タスクフォース」の[…]

さらに言えば、金融業界だではなく全ての産業を巻き込み、私たちの消費にも大きく影響を及ぼすかもしれません。

今回は、ESG投資家必見、さらには消費者にとっても重要になるであろうTCFDの勧告について解説します。

TCFDの勧告の概要

目的は、気候変動によるリスクを低減し金融市場を安定させること

気候変動により、金融市場はリスクにさらされています。

この気候変動によるリスクを低減し、金融市場の安定化を図ることが、そもそもTCFD発足の目的でした。

しかしもちろん、金融市場の安定化は、TCFDという組織1つでできることではありません。金融市場に関わる様々な組織の協力が必要です。

その協力を得るために2017年6月にTCFDよりなされた勧告が、「気候変動関連財務情報開示タスクフォースの勧告」です。

すなわち、TCFD発足の目的そのものが、この勧告の目的でもあります。

対象は、公募債や株式を発行しているすべての組織

「勧告」というくらいなので、誰かに対して「これをしたほうがいいよ」と勧めている内容になります。

では、一体誰に対して勧めているのでしょうか。

TCFDの勧告は、公募債や株式を発行しているすべての組織を対象としています。

金融市場の安定を図るためには、それに関わる全ての組織が協力する必要があるからです。

たとえば、上場している会社はもちろん、上場していなくても株式会社はすべて対象となります。この勧告の影響は、とてつもなく広い範囲に及んでいます。

TCFDは大きな影響力を持った組織なので、もしかすると「これをするべきだから従え」と半命令くらいの内容かもしれません。

内容は、気候変動が起きた時の財務状況予測を開示すること

気候変動によるリスクを低減させるために、対象となる組織は、「気候変動が起きたときに自分の組織の利益や資産状況がどうなるのか?」を開示することが求められます。

たとえば、地球温暖化が進んだ未来においては、今までの利益予想を覆すような出来事がたくさん起きるでしょう。

その組織の売り上げが極端に落ちるかもしれないし、逆にとても増えるかもしれません。

そのような予測を、今後はしていこうとするのがこの勧告の内容です。

さらにいえば、地球温暖化が進むスピードによっても売り上げ予想などは変わるかもしれません。

TCFDの勧告では、「どれくらいの気候変動が起きたらどうなるか」という気候変動シナリオごとの予測まで求められます。

TCFDの勧告の概要は以上です。続いては、対象となる組織が何をするのか?をより詳しく見ていきます。

投資家が知るべき気候変動と財務の関係

勧告の内容を説明する前に、実は、企業側も投資家も知るべき内容があります。

それは、「気候変動」と「財務状況」がどのように繋がっているのかです。

これを知らないと、どうして気候変動が起きたときに財務状況が変化するのか?の説明ができなくなってしまいます。

「地球温暖化が進んだら、たぶん売り上げは3倍になるよ!」と言われても誰も信じないでしょう。

逆に言えば、この関係性を知ることで、より確かな予測ができるようになります!

ESG投資家にとっても、利益を出すために最も重要な部分かもしれません。

気候変動が起きると、企業にはプラスの影響とマイナスの影響がある

気候変動が起きると、企業には様々な影響があります。

TCFDは、この影響を企業にとってマイナスの影響とプラスの影響に分類し、マイナスの影響を「リスク」プラスの影響を「機会」という言葉で示しています。

財務の『リスク』は金融用語としてのリスクであり、今使った「リスク」は私たちが普段利用する「マイナス」のイメージを持ったリスクです。

気候関連のリスクと財務への影響

まずは、気候関連の「リスク」が、どのように財務へ影響するのかを見ていきましょう

種類具体例財務への影響
移行リスク「炭素税」のように、国が商品に税金をかける仕入れの値段が高くなったりして利益が少なくなる
移行リスク消費者が環境にいい商品を選ぶようになる環境を意識していない場合、売り上げが減少する
移行リスク自動車が、排ガス規制を満たさなくて訴えられる罰金を払わないといけない
物理的リスク洪水が発生して工場が流されるもう一回工場を作るお金を払わないといけない
物理的リスク海面が上昇し、畑がなくなる作物が作れなくなり、売り上げが減少する

上の表が示すように、気候関連の「リスク」は、さらに「移行リスク」と「物理的リスク」に分けられます。

  • 「移行リスク」:世界が「環境にいい」方向に移行するなかで、企業に与えられるマイナスの影響
  • 「物理的リスク」:気候により、企業に物理的に直接与えられるマイナスの影響

これらのリスクが起きる(大きくなる)と、売り上げが減少したり、工場をまた建てないといけなくなったり、そのための保険料を払う必要が出てきたりします。

気候関連の機会と財務への影響

同様に、気候関連の機会も忘れてはいけません。

気候変動があると、どのように企業にプラスの影響があるのでしょうか。

種類具体例財務への影響
資源効率リサイクルが求められ、リサイクル市場が活性化する中古商品が安く手に入り、コストが低くなる
エネルギー源再生可能エネルギーを調達する化石燃料の価格上昇を気にしないでよくなる
製品とサービス「環境にいい」旅行ツアーをひらく消費者が好んで参加してくれ、売り上げが増加する
市場いままでにない「新しい市場」をつくる新規ビジネスによる収益の増加
レジリエンス気候関連リスクに対応するため、資源の代替コンサルをするサービスによる収益の増加

気候関連の「機会」も上の表のように5つの機会に分類されます。それぞれの機会があることで、企業には大きなプラスの影響も期待されます。

そして、これらの関係を知ることで

どのような会社が今後伸びるのか

自分が新しく環境ビジネスをするならどの分野がよさそうか

を考えられるようになります。

企業が求められる開示情報

企業は、金融市場の安定のために、実際になにを開示しなければならないのでしょうか。

財務状況の予測結果だけを開示しても信頼性がないため、企業はなぜその結果になったのかから開示することが求められます。

具体的には、TCFDは

  • ガバナンス
  • 戦略
  • リスクマネジメント
  • 測定基準(指標)とターゲット

という4つを開示することを推奨しています。

これらの開示によって、気候関連のリスクと機会について、報告組織がどのように考え評価しているのかを、投資家やその他の人が理解できます。

気候変動のリスクや機会は、すぐわかることは多くはありません。ほとんどが、中長期的に影響が表れるため、時間も規模も不透明です。
そこで重要となるのが、様々な状況を想定する「シナリオ分析」です。

TCFDの勧告の中では、このシナリオ分析についても規定しています。金融市場のリスクをより下げるためにも、気になる方はどのようなシナリオが想定されているのかを確かめてみてください。

まとめ

  • TCFDの勧告は、気候変動によるリスクを低減するためにおこなわれた
  • ほとんどの組織が対象である
  • 気候変動により組織にはリスクや機会があり、組織の財務状況はマイナスの影響とプラスの影響を受ける
  • 組織はそれぞれの影響を、「ガバナンス」「戦略」「リスクマネジメント」「測定基準(指標)とターゲット」という観点から報告することを求められる

最新情報をチェックしよう!