年間643万トンも発生している食品ロス。そのうち133万トンは外食産業から発生しています。
2019年10月には食品ロス削減推進法が施行され、各層での食品ロスへの対策が急務となっています。
2月3日終了後の恵方巻に代表される食品ロス(フードロス)問題。 大量廃棄されるショッキングな映像をニュースで見たことがあるという方も多いのではないでしょうか。 この食品ロスは世界でも国連による持続可能な開発のための2030アジ[…]
そんななか、渋谷区が食品ロス削減等推進店舗「”シブラン”三ツ星レストラン」の認証制度を開始しました!
この記事では、「シブラン三ツ星レストラン」の概要や申請方法などについて解説していきます!
「シブラン三ツ星レストラン」とは?

「シブラン三ツ星レストラン」は、食品ロスの削減、環境美化、ごみの削減に取り組む飲食店を募集し、必要事項を満たしている場合は渋谷区食品ロス削減推進店舗「シブラン三ツ星レストラン」として認証することで以下の3つを促進することを目的としています。
①食品ロスをはじめとした環境課題への意識啓発
②環境に配慮する飲食店をPRすることができる仕組み
③飲食店による食品ロス削減への自主的な取組
ポイントはやはり食品ロス削減などへの取り組みを「自治体が認証してくれる」点です。
近年「エシカル消費」という言葉が注目されるなど、個人の消費の在り方も見直されてきていますが、一回一回の食事の際にその店の食品ロスへの取り組みを深く調べることは大変です。
環境や社会に配慮したい個人が「シブラン三ツ星レストラン」の一覧を見ればそのようなお店を判別できます。
『エシカル消費』って言葉を聞いたけど、実はよく知らないんだよね.....。 そんな方は珍しくありません。 それもそのはず、2017年の消費者庁による調査では「エシカル」・「倫理的消費」の認知度は合わせてもわずか10.4%と、ま[…]
認証を受けることができる飲食店
渋谷区内で営業する飲食店
→ジャンルや料理提供の形態は問いませんので、宅配等でのみを提供している飲食店でも可能です
【重要】「シブラン三ツ星レストラン 」認証基準
認証は「食品ロス削減」・「環境美化」・「ごみ削減」の各項目において1項目ずつ以上実施する飲食店をシブランとして認証しています。
それぞれの項目について確認してみましょう!
項目①食品ロス削減
【食材を使い切る、売り切る工夫】
- 食材の無駄が出ないような仕入れの実施
- 魚のあらや骨、野菜の皮などを利用したメニューの提供
- 余った食材をスープやスタッフのまかない料理に利用
- 使い切れなくなった食材や料理の共有(フードシェアリング)
食品ロスは単純にもったいないというだけではなく、処理に国内年間2兆円ものコストがかかっています。
最近では食品ロス予定となってしまった商品を格安で購入することができるフードシェアリングのアプリも多くリリースされていますので、この機に導入を検討する飲食店が増えてくれたら良いですね。
現在、食品ロス(フードロス)が深刻化しているのをご存知ですか? 食品ロスとは、まだ食べられるのにも関わらず捨てられてしまう食品のことです。 国内だけでも年間643万トンの食品ロスが発生しているというのだから驚きです。 […]
【食べ残しを出さない工夫】
- 小盛メニュー、SMLサイズ、ハーフサイズの設定
- 量、カロリー、辛さ等はわかるようなメニューの作成
- アレルギーや好き嫌いに対応するため材料をメニューに詳しく記載、注文時に食べられないもの等を確認
- 注文時やコース料理における分量のリスエスト
- 食べ残さないルールやマナーの呼びかけの実施
- 食べ残しの持ち帰り可能
欧米などでは持ち帰り用の容器(ドギーバック)が食文化として根付いています。
日本人は持ち帰ることが恥ずかしいでだったり、店員さんに手間をかけてしまうのが申し訳ないという人が多い気がします。
お店側がそのような食べ残しを出さないような仕組みを導入し、大々的に顧客に周知することで意外なほど食べ残しは減ると思います。
【食べ残しゼロに向けた啓発活動】
- ポスター等の掲示
- ホームページでの案内
ポスターやホームページも良いと思いますが、一番効果的なのは直接店員から顧客にお願いすることのような気がします。
入店時に明るく「食べ残しゼロに向けた活動をしていますのでご協力お願いします!」と言われたら多くの人が聞き入れてくれるのではないでしょうか!
項目②環境美化
【店舗前の清潔感の維持】
- 店舗前の定期的な清掃(朝・昼・晩)
- テイクアウト可の店舗は店頭にごみ箱設置
- ポイ捨て禁止等のポスター・看板の掲示
【適切なごみの分別・排出】
- 適切な分別の実施(可燃・不燃・資源)
- 保管時のゴミの飛散や害虫の発生等を防ぐような工夫
【店外の騒音対策】
- ポスター等での注意喚起
- 従業員による声掛け
- 深夜におけるテラス席の不使用
【生ごみ排出時の工夫】
- 水キリ専用ザルの使用
- 生ごみをコンポストに投入
- 生ごみリサイクルの実施
最近はおしゃれで臭いも発生しにくいコンポストも開発されていますので、カフェなどのお店にも是非利用してほしいですね。
項目③ごみ削減
【使い捨て商品の使用を抑える工夫】
- マイ箸、マイボトル持参の推奨
- 繰り返し洗って使える箸・スプーン・容器等の利用
- 紙製やプラスティック製のスカイ捨て容器等を使わない工夫
全体的に各項目が具体的で、比較的どの飲食店にも導入のハードルが高くないものばかりです。
食品ロス削減をしたいという飲食店もどのように行動したらよいかわからないお店も多いですので、一つの指標にもなるのではないでしょうか。
「シブラン三ツ星レストラン」の申請方法
申請は専用の「”シブラン”三ツ星レストラン認定申請書」を以下住所まで郵送または持参します。
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-2-17 渋谷区役所美竹分庁舎清掃リサイクル推進係



簡単な店舗概要と、先ほどの各項目に関するチェックリスト、PR記入欄のみですので、そこまで大きな手間は内容はありません。
現在の「シブラン三ツ星レストラン」店舗一覧
2020年1月16日時点で44店舗が認証を受けています。
以下の東京都のページから確認でき、各お店がどのような取組をしているかも確認できるので、特に応援したい取り組みを実施しているお店も事前に見ることができます!
東京都からの支援も!「シブラン三ツ星レストラン」に申請しよう!

いかがでしたでしょうか。
飲食店も比較的取り組みやすい内容だったのではないでしょうか!
実施要項の第9条には「区長はシブラン認証店に対して必要な助言を行うとともに、シブラン認証店としての食品ロスの削減等の取り組み内容について、ウェブサイトで紹介するものとする。」という文言もあります。
食品ロス等の活動を通して、コスト削減やPRによるお店としての利益はもちろん、社会貢献・エシカル志向の強い顧客の満足度向上と、まさに三方良しの取り組みです。
日本ではなかなかイメージがつきにくいかもしれませんが、世界全体の人口は増え続けており、2050年には97億人にも達し、それに伴い食糧の不足が懸念されています。
また国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)のうちのひとつには「飢餓をゼロに」という項目が上がるほど、特に新興国では飢餓の問題は深刻です。
現状について知ることもですが、なにより大切なのは「行動」することです。
その第一歩に「シブラン三ツ星レストラン」の認証制度は最適です。
飲食店は導入を、消費者のみなさんは認証店舗を利用することしてみてはいかがでしょうか。